新会社法と会社設立


 2006年5月1日・新会社法が施行されました。

 今回の会社法はこれまでの会社法概念を根底から覆す100年に1度の大改正とも言われており、これによ
り今後の会社経営と法の関係についても少なからぬ影響があろうかと思います。

 主な特徴などについては以下に記してありますが、新会社法によって会社設立がどう変わるかをざっと見て
みますと、概ね規制緩和の流れを受けていることにより、設立自体は以前より簡易になったということができ
るでしょう。これまでのようにあれやこれやと印鑑証明を集め回ったり、払い込みのためにあちこちの金融機
関回りをする負担はなくなったといえます。

 ただ一方、規制が緩和されたということで、むしろ設立後に様々な問題が発生することが考えられ、逆に難
しくなったといえる部分もあると考えます。

 したがって、新会社法の下では単に会社設立を行うだけではなく、設立後のケアなどもできなければ意味が
ないと考えています。

 もちろん、他の許認可申請との兼ね合いもあり、専門家との連携はむしろこれまで以上に必要になってくる
といえるのではないでしょうか。


 新会社法の主な特徴

1.片仮名・文語体から現在の平仮名・口語体に改められた
 個人的にはとても嬉しい改正です(笑)。

2.非公開会社の法制をベースにする改正

 これまでの会社法は一般に言われる大会社を中心とする法制であり、閉鎖会社については有限会社法や特例
などで認められているという状態でした。

 新会社法では、これらが逆転し、中小会社をベースにした法制を採用しています。

 実際問題、株式会社においても98%以上が中小会社という現実を考えれば妥当といえるでしょうし、新規創
業において複雑なシステムを消化しうる地盤のある起業もさほど多くないでしょうから、望ましい改正といえ
ると思います。

(例)
 a.最低資本金制度の廃止
旧法下では株式会社については1000万円、有限会社については300万円の資本金が必要とされていましたが、これらが撤廃され、設立時出資金の下限がなくなりました。新法下では資本金が1円でも会社設立ができるようになりました。


この点については、新会社法以前にも新事業創出促進法によって1円会社の設立が認められていたのですが、5年以内に資本金1000万円のハードルを越えなければならないという要件が定められていたため、これが高い制約となっており、実際に設立された1円会社は1000社程度だったそうです。
逆に、資本金廃止によって、会社債権者が不測の損害を受けうるのではという疑問については、計算書類の公告義務を定める(440条)など、中小企業の開示を強化することで対応しています。
ただし、資本金廃止によって競売妨害目的などで作成されるだけの会社の出現も予想され、また財務基盤が脆弱な会社については取締役の対第三者責任や法人格否認の法理などで対抗せざるをえない場面なども想定され、この部分が今後の課題になるのではと懸念されているところでもあります。

 b.機関設計の簡素化  
新会社法のもとでは取締役1人だけの会社も認められるようにもなりました。
これにより、名目的取締役などを揃える必要がなくなり、新規設立が簡素化されたと同時に、会社債権者にとっても、名目に過ぎない取締役などの行為に振り回される危険性が減ったといえます。
また、役員の任期が延長できるようになったことも重要な変更点です。


3.定款自治の拡大

 会社の根本規範であるところの定款によって定められる事項が増え、様々な形の会社が設立できるようにな
りました。

例えば、株主が亡くなった場合に、定款に定めておけば会社は総会決議を通じて「相続した株式を売れ」と請求することができる…174条以下。
また、取締役会の書面決議が定款で定めておけば可能になった…370条

 これにより、経営者はこれまで以上に広汎な自由を得ることができる反面、「防止できる措置を何故取らな
かった」など、より経営責任を問われ易くもなりました

 したがって、より、経営に関して繊細な感覚・法的感覚を必要とされることになるかと思います。


 また、これとは直接関係ありませんが、ITサービスの発展との兼ね合いにより、電磁的記録による定款認
証を受け付けるところも増えてきました。この場合の認証については印紙代がいらなくなったため、これによ
り4万円を節約することも可能です。検討されてはいかがでしょうか。


 会社法について、より詳しく知りたいという方は こちらへ


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