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遺言・相続

遺言・相続については、民法典に定められています。
ただし、民法の規定は指定がない場合のものであり、多くの事項について、遺言があればその記載が優先されることになります。
一律的に決めている民法規定よりも、当事者の直接的意思が反映されている方が望ましいことは言うまでもありません。
例えば法定相続による場合は、子が数人いる場合に財産が等分されることになりますが、この場合ですと子の態度にかかわらず均等に配分されてしまうことになったり、事業を営んでいる場合に誰に事業を承継させるかが死後になって分からなくなるという事態などが起きえます。
したがって、円滑に相続を進めて事後の余計な問題を起こさないために、被相続人が何らかの形で遺志を残しておくことが望ましいのではないかと考えます。

1.相続は何時から始まるの?
自然人が死亡した時です。
生物的な死はもちろん、法律的な死(失踪・認定死亡)も含まれます。

2.主な相続人は?
配偶者は必ず相続人となります。配偶者と以下の中で一番序列の高い親族が相続人となります。
a.子(配偶者と子の相続比は1:1です)
b.直系尊属つまり親など(配偶者と直系尊属の相続比は2:1です)
c兄弟姉妹(配偶者と兄弟姉妹の相続比は3:1です)
同一序列の親族が複数いる(子供が2人など)場合は、等分します。
但し、非嫡出子である場合、兄弟姉妹の場合に片親が違う場合などは相続分の1/2となります。

遺言について

1.遺言は誰でもできるの?
原則として日本人は満15歳以上であれば可能です。

2.遺言をした場合、民法上の相続比との関係はどうなるの?
遺言で相続分が指定されている場合、民法上の法定相続分は原則として無関係のものとなります。
遺言者は民法の規定に関係なく、自分の思うように財産を処分することができます。

3.遺言は書かなければいけないものなのか、テープやDVD保存は?
残念ながら、日本では録音テープやDVDなどによる遺言は認められておりません。

4.書かなければいけないというけれど、PCのワープロ機能で打ち込んだ遺言はOK?
これは自筆証書遺言以外ならばOKです。
自筆証書遺言については自筆という性質上、ワープロなどでの作成は認められておりません。

5.遺言には複数の種類があるって聞いたけれど?
自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の三種類に加え、一定の緊急状態の下では民法上特別に遺言が認められる場合があります。

自筆証書遺言
自筆であれば、という以外に特に要式はありません。
紙と筆さえあれば簡単に書ける点がメリットです。
反面、内容不備などで無効とされることが多いのがデメリットです。
また、実際に遺言として認められるためには家庭裁判所による検認が必要です。

公正証書遺言
遺言者が公証人と証人二人の前で遺言内容を口授し、それに基づいて公証人が作成するのが公正証書遺言です。
原本が公証役場に保存されるなど、内容の信憑性という点ではもっとも優れています。
また、公正証書遺言である場合には家裁の検認を必要としませんので迅速な対応が図れるという点でもメリットがあります。
ただし、証人の面前で伝えなければならないため、どうしても秘密にしておきたい事項などを秘匿できないという点と費用がかかる点が難点といえるでしょう(この点につき、守秘義務を課せられた行政書士等を証人に立てた場合には秘密厳守が守られます)。

秘密証書遺言
言者が遺言の内容を記載した書面を有し、遺言書と同じ印章で封をしたものを公証人の前 に提出し、その封されたものが自らの遺言書であること及び氏名・住所などを申述するなどの手続をして完成させるものが秘密証書遺言です。
自筆証書と公正証書の双方のメリットがあると言えますが、内容が法的に不備であった場合に無効になる恐れなどは否定できません。
また、家裁の検認を受ける必要があります。

6.遺言を取り消したり撤回することはできる?
できます。
また、一度遺言を作成した後に別の遺言を作成した場合、前後の遺言で内容が抵触する場合には後者の遺言の内容が優先されます。
これは前後の遺言が自筆証書、公正証書、秘密証書のいずれであろうと関係ありません。
自筆証書遺言で公正証書遺言の撤回をすることも可能です。

7.相続人を外すことはできるの?
一定の理由があれば、日本の民法上では廃除制度により除外することが可能です。

8.子供がいるけれど、財産を全部妻に残したい。これはできるのか?
指定すれば一応は可能です。
但し、配偶者、尊属、子には一定の遺留分が認められており、この場合に子が自らの遺留分を主張すれば、その範囲では子に財産が行くことになります。

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