相続税

 相続人や受遺者が相続や遺贈によって財産を取得すると、その財産について税金がかかります。これが相続
税ですね。ただし、単に相続財産に税金がかかるだけとしてしまうと、大抵の人は生前のうちになるべく財産
を他人に贈与しておこうとするはずです。それでは税務行政上公平ではないということで、贈与財産について
もまた、贈与税という税金がかかることになります。
 したがって、相続税と贈与税は性質は若干異なりつつも、密接な関係を有しているということになるわけで
す。そういうことで、法律の上でも相続税法という同じ法律に規定されております。

 相続税など税金については、基本的には税理士の業務、ということになるのですが、参考までに基本的な事
項などについてここで触れておこうと思います。

 相続税の算出は基本的には下記の流れによって行われます。
 1.遺産の総額を計算

 2.債務・公租公課などの特定費用を減算した遺産額を計算

 3.相続開始3年前までの贈与財産などを加算して正味の遺産額を確定

 4.3で求めた遺産額から基礎控除(5000万+相続人×1000万)を減算して課税遺産総額を算定

 5.各相続人の法定相続分遺産額×税率 を計算し、各相続人の相続税の総額を求める

 6.各人が実際に相続した遺産額に応じて相続税の総額を按分する

 7.税額控除や配偶者控除など、あるいは税額加算などで加減し、各相続人の税額を決定

 8.相続税の申告(原則として相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)・納付


 まず、現在、日本で行われている相続のうち96%について相続税がかかっていないというのが実態です。
どうして相続税という制度があるのに相続税がかかっていないのかといいますと、それは相続税法が認めてい
る各種の特別控除などの恩恵を大半の人が受けているからです。
 その基本となるのが…
5000万円 + (相続人の数×1000)万円
 の計算式で出される基礎控除額です。例えば、相続財産が9000万円で、相続人が合計4人の場合。
 9000万円 −(5000万+1000万×4) = 0円
 となり、相続税はかからないことになります。
 なお、この相続人の中には相続放棄をした人も放棄をしなかったものとして含まれます。ただし、この計算
式による限り、相続人の数が多ければ多いほど得をすることになりますが、あまりに不当な相続税対策を認め
るのは得策ではないということで、例えば養子などについては最高でも2人までしかカウントされないことと
なっています。養子は2人でも3人でも5人でも2人扱いとなってしまうわけですね。
また、実子がいる時は養子は1人までしかカウントされません。
 基礎控除額で全部引かれて相続税が発生しないような場合には申告の必要もありません。
相続税法第二十七条
 相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用 を受けるものに係る贈与を含む。以下この条において同じ。)により財産を取得した者及び当該被相続人に係る 相続時精算課税適用者は、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税 価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定に より相続税の課税価格とみなされた金額)の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、そ の者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場 合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)に係る第十五条から第十九条まで、第十九条 の三から第二十条の二まで及び第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定による相続税額があるとき は、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項 (納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有し ないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に課税価格、相続税額その他財務 省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない

遺産の総額を計算 (1)
 それでは、まず相続税の課税対象となる遺産にはどのようなものが含まれるのか。
 当然、被相続人が残した不動産・動産・現金などが遺産となるわけですが、他に以下のようなものも実質 は相続によって得る財産と同視しうるとして、遺産として扱われます(みなし相続財産=相続税法3条)。
 @.被相続人の死亡によって取得した保険金等
ただし、500万円×法定相続人までについては非課税で、それを超える額についてのみ課税対象になります
 A.被相続人の死亡によって支給された退職金等
 B.声明保険契約に関する権利
 ……etc

 逆に、一見相続財産に見えるものでも除外される場合もあります(相続税法12条)。
 @.皇室経済法の規定により、皇位とともに皇嗣が受け継いだ財産
ま、これに当てはまる優遇措置を受けられる人は相続税法について知ろうとする必要もないでしょうけれど (笑)
 A.墓所や祭具など
ただし、骨董として価値があり、投資の対象として所有しているものはあたりません
 B.公共事業用財産
 ……etc

 尚、不動産や動産については、評価方式があらかじめ決められており、その方式に従って計算されること になります。

特定事項について減算・加算 (2・3)
 被相続人が相続開始時に負担していた債務などを控除します。
 ここで控除される債務は公租公課、銀行からの住宅ローン、入院していた病院などの入院費支払費用など です。いずれも被相続人の債務であり、相続開始の時点で存在していなければなりません。
 また、被相続人のための葬式費用についても減算されますが、葬式に関係あれば全て減算対象となるわけ ではないので注意が必要です。

 次に、相続が発生する前3年以内に、相続人が被相続人から贈与を受けていた場合、当該贈与財産は相続 財産に加算されて課税対象になります。
 ただし、この贈与について、被相続人の生前に贈与税を納めていた場合には二重の負担を強いられること になり公平ではありません。従って、既に贈与税を納めている場合にはこれを相続税から控除することにな ります。

各自の相続税を計算(5・6)
 1〜3によって求めだされた遺産総額から基礎控除額を差し引き、尚余りがある場合には各相続人が負担 する相続税額を計算することになります。
 この計算式はまず各法定相続人の法定相続分に応じて取得したものとして、各取得金額に相続税の税率を 適用して計算し、その合算を出します。これが相続税の総額(但し、確定額ではないので注意!)です。

 次いで、この計算によって出された各相続人の相続税の総額を今度は実際に各相続人が相続した比率で按 分計算することになります。この計算で出された額が各相続人の負担すべき相続税額となります。

相続税額の控除と加算(7)
 上記で計算された負担すべき相続税額から、特定の控除・加算を行います。
 控除対象としては…
 @.配偶者に対する税額の軽減
 A.贈与税額控除
 B.未成年者控除
 C.障害者控除
 D.相次相続控除
 加算対象としては、
 E.税額加算
 があります。これらを控除・加算して求めだされたものが最終的な相続税額となります。

 以上が相続税の基本事項です。

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